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White light、Black rain
▲テレビ(ときどき映画たまにお芝居)斜め読み
テレビ(ときどき映画たまにお芝居)斜め読み By 高橋晶

 
岩波ホール「ヒロシマナガサキ」。
観るまでは少し気負いがあったと思う。
いろいろ聞いていたから。

演出といったら、出だしの、渋谷でのインタビューだけ。
それだって、「42年前の8月6日に何か起こったか」と、道行く若い子に聞くという、ごくごくありきたりなもの。
まあ、もちろん、誰も思いつかないわけだけど。

14人の被爆者と、実際に爆撃に参加した4人の元米兵の証言と、当時のニュース映像と、用意されている材料は、ほぼそれだけ。
表現自体は重々しいこともなく、むしろ事実のかけらを薄くなぞるように、軽やかさとか、静けさだとか、清澄さみたいなものさえ感じる。
25年、原爆を追いかけてきた監督がたどり着いたのが、この手法か。

突きつけられるのは、エノラゲイからリトルボーイを落っことした者と、それを地べたで受けた者との圧倒的な距離。
どちらも家族がいて、友達がいて、一日一日ふつうの暮らしを連ねるだけの、同じ生活者のはずが、雲の上と、地面の上と、その間にいったい何があって、これほどかけ離れることになるんだろう。
一瞬にして簡単に入れ替わる、なのに永遠に相容れることのない関係。
人間の当たり前の営みの中の、どこにでも見出せるそのことに悄然とする。

モノクロームの謀略に気づかされたこともショックだった。
初めてカラー映像を観たことで。
40数年の間、苦しみ続けた被爆者たちが、現代の街中に立って語る、その映像の鮮やかさと、被爆当時の症状を映した記録映像の明るさとトーンが同じなんだ。
モノクロームはウソじゃないけど、たくさんのことを隠してしまう。
それは思いやりでもあり、そのおかげで、深入りせずにすんできたところもあるわけだけど、人間の色覚をずっとシンプルに見せる分だけ、できごとそのものを遠ざけてしまう。

当たり前なことだけど、彼らは、その風景をその目で見たんだ。
そのとき、その場にいて。
白い光線と黒い雨の中で。
すべてが壊れ、黒い炭になって、音もない、何もない風景を、太陽に分解された原色で。
与えられた五感によって。
もちろんその世界に漂う匂いも嗅いで。
その記憶を心身に重く刻み付けて、一つ一つ的確な言葉で語る。
言葉と映像。それ以上も以下もない。
だからこそ、彼らの証言がドンと胸に響く。

久間元大臣が他人事みたいに言ったことは、やっぱりどうにも他人事のセリフだ。
確かに落とさなければ戦争は終わらなかったかもしれない。
もっと多くの人間が死んだかもしれない。
けど、やっぱりそれは違う。
落とした者と落とされた者の埋めようのない隔たりを思えば。
じゃ、戦後レジュームって何よ。

やっぱり、観とかなきゃいけない映画だと思う。
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