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こうみそだて その22 「PTAはじめてものがたり」@
こうみそだて その22 「PTAはじめてものがたり」@
▲こうみそだて


 

■はじめに   By くまこ
 子育てをめぐる書物は世の中にうんざりするほど出ているわけで、有名な先生から一介の主婦まで様々な視点で書かれており、「もう十分」と思っている人も多いだろう。しかし、子を産み育てる当人にとっては、日々これ発見なわけで、この「発見」を人に問うて見たいという気持ちは誰にも止められない。とゆーわけで、私も一人の子を産み育てつつあるなかの「発見」を、この「いまどこ」紙上(※)を利用して同世代の皆さんに問うてみたいと思っています。

※「いまどこ」 2002年11月創刊。現在休刊中。基本的に30〜40代の人たちに、毎月お題を振って自由に語ってもらうフリーペーパー。「こうみそだて」は「いまどこ」に毎月連載していたものです。

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 運命の電話がかかってきたのは、三月初めのころだった。娘もようやく小学校一年の生活を終えようとしている。ちょっぴり恥ずかしがり屋で人見知りする娘も、学校と学童の二重生活に慣れてきた。「もうすぐ二年生かあ…」そんな感慨にふけっているころだった。

 「もしもし、私、息子がナミちゃんと同じクラスのMでございます」
 すぐ近くに住むお母さんだった。Mさんは、入学当初、クラス理事を決めるときに、「そんなに負担に思わず、みんなで助け合ってやりましょう」と緊張していた雰囲気をやわらげてくれたお母さんで、会うと元気のよいあいさつをしてくれる人だった。ただ、お子さんが男の子と言うこともあり、娘との接点はあまりない。何の用だろう? 不思議に思っていると、「私、今年度の推薦委員(PTA役員を推薦する人)をしているんですけど、来年度のPTA役員をぜひやっていただけないでしょうか…」と言う。PTA? 「えーっ、いえいえ、働いていますし、無理です。荷が重いし…」と条件反射的に返事をすると、「みなさん、そうおっしゃるんですよ。無理にとは言いませんが、学校のこともわかりますし、先生やほかのお母さんと情報交換できますし…考えてみてもらえませんか…」と推薦委員だけあってなかなかうまくお誘いをしかけてくる。「はあ…」
 結局それから4〜5回電話をかけてきたMさんの熱意に押されて、「では、よくよく誰もいなければ、一番ラクな役なら考えます」と返事をしてしまった。それから、数日後、「来年度のPTA役員をお願いいたします」と推薦委員長から電話が来て、ことの重大さに気づいた次第。もう遅い。

 役を決める当日。午後5時。娘の習い事で少し遅れて会議室に行くと、教頭先生、推薦委員長、来年度のPTA役員に決まったメンバーがすでにそろっていた。そのなかには、娘と同じクラスのN君のお母さんもいた。学年は違うが、保育園で一緒だったお母さんもいた。
 少し安心したものの、役が決まらない。Mさんには、「役を決めるときは主張して監査(←一番ラク)ならやりますと言ってくださいね」と言われていたので、まず仕事があること、一人っ子なので留守番をさせられないこと、などをあげ、監査を希望した。すると、「待ってました」とばかり次々に、「私もフルタイムで働いている」「学齢に達していない子どもがいる」「介護人がいる」「病気がちだ」と、みなそろって「監査ならやります」と言うのだ。
 なにぃ〜話が違うじゃないか!!と腹が立つと同時に面食らってしまった、どうしよう!! そんな事情があるのに、みんななぜ役員を受けたのか!? よりによってみんな結構しんどい事情を抱えているのに!!と思い、わが身を振り返って愕然とする。自分も同じじゃないか…。

 よく見ると、みなさん人のよさそうなイヤとはいえない感じの人たちである。結局いくらヒマでも強引に「やりません!!」という人は勝つ。ようは断りきれないお人よしが貧乏くじを引いてしまうものなのか!? なんだかそう思ったら泣けてきた…なんていい人たちなんだろう(←自分も含まれている)。そうこうしているうちに、5時から始まった役決めはいっこうに進まず6時になってしまった。だんまりの苦しい時間が続く。

 口火を切ったのはSさんだった。昨年副会長の経験があるSさんが、「どこまでできるかわかりませんが、会長をやらせていただきます」と言ってくれたのだ。一同安堵のため息。引きつづきKさんも「4年前に経験がありますので、誰もいなければ…」と副会長を引き受けてくれたのだ。ここまでくれば、私も言うしかない。「計算は苦手ですが、会計をやります」。
 しかし、すんなりとはいかなかった。副会長枠がひとつ残っているからだ。みな、書記、会計までは譲っても、副会長となるとしり込みする。再びだんまりの時間が刻々と過ぎていく。6時半を回っても決まらない。会長、副会長の二人も、「なるべく負担は負いますので、どなたか…」と振ってくる。このままでは7時になってしまう…と誰もがあせり始めたとき、Sさんが「くまこさん、どうでしょう」と振ってきた。やはりフリーで仕事をしていることと、子どもが一人ということだろう。もう頭が麻痺していたし、娘も一緒に連れてきていていい加減飽きていたので、「本当になにもできませんが、それでもよければ…」と言ってしまったのである!!(←バカ)。朦朧とした頭の中で、私は自白を強要された冤罪者のような気持ちになっていた。

 こうして、はじめてのPTAの長い一日は終わろうとしていた。帰り道、ズーンと沈んだ気持ちで娘と学校をあとにした。「ママ、ふくかいちょうなの?」「そうだよ。だれもやる人がいないからね…これから学校へ行くことも多くなると思うよ」「ふーん」。娘は少しうれしそうだった。空には半月がきれいに輝いていた。しみじみとした気持ちで見つめ、家路を急ぐ私であった。(つづく)
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