全国商工会青年部連合会
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主張発表全国大会優勝!堀尾知弘さん
写真最優秀賞:堀尾知弘さん
野田川町商工会青年部【京都府】
●受賞者コメント
 まず、ここまで私と共に喜び苦しみ支えてくれた野田川町商工会青年部の皆さんやこのことを機に知り合うことが出来た沢山の仲間に改めて感謝しております。
 思えば半年近くを主張発表一色で過ごしてきて、こんな経験は一生のうちにそう何度も出来たものではないと、今更ながらに感じています。
 全国大会という大舞台で自分の想いを存分に伝えることが出来たこと、我が愛すべき旧野田川町(現与謝野町)をアピールすることが出来たこと。それは私だけでなく部員が一丸となって成し得た成果であり、なにより来年合併を控える野田川町商工会青年部が一致団結して、青年部活動を謳歌できたことに部員として発表者として、また副部長としてもこの上ない喜びに浸っています。
 これから先、この経験をよりよく活かし、自分の事業に益々精進しながら地域に受けた恩恵を少しずつではありますが、返していきたいと思います。
 最後になりましたが、応援してくださった皆様、本当に有難う御座いました。

 シャンクールLLPは、現在新作の発表に向けて試行錯誤を重ねているところです。
 今後もシルク素材を活かした商品の開発を心掛け、地域の織物産業の活性化にも繋がるよう活動して参ります。お見かけになりましたら、是非声をかけてやってください。
 
 















青年部活動に参加して〜人から人へ・・・そして地域から世界へ〜
「春風とともに、大江の山は融雪と化し、野田川は流れを速めて阿蘇海へと走り去る。やがて山紫水明蘇り、野田川に鯉が昇る。」

皆さんこんにちは!私は京都府北部の与謝野町からやってまいりました、野田川町商工会青年部の堀尾知弘といいます。
私のまちのある丹後地方は、約300年前から『丹後ちりめん』をはじめとした織物業が地域の地場産業として発展し、長年にわたり地域経済を支えてまいりました。
しかしながら、最近の和装需要の低迷など様々な要因により、最盛期には1000万反ほどあった生産量も、今年度はわずか70万反程度になると予想されています。
とはいえ、地域の全就労者の約一割強がこの「丹後ちりめん」に従事しており、今でも私達の地域の誇れる地場産業なのです。
思えば、私が幼い頃には、町中そこかしこから機織りの音が『ガッチャン!ガッチャン!ガッチャン!ガッチャン!』と聞こえ、まちには活気があり、またそうした音や風景が私のふるさとなのです。

「はい、もしもし、堀尾デンキです。」
「工場の電気配線を撤去して欲しいんだけど。」
それは、昔から付き合いのある大きな機屋さんからの電話でした。
「機織り やめたんだわ。なかなか儲からんし、息子も帰って来んみたいだしなぁ。」
次の日、工場にお伺いしてみると既に解体が始まっていて、そこにあった大きな機織り機は、業者の方によって次々と運ばれていきます。

「長い事やってきたけど、景気悪いしあかんわぁ。昔は良かったけどなぁ」
そう言って、工場を眺めるお客さまの背中は、いつもより少し小さく、寂しそうでした。
その後、工場はリフォームして使われる事になりましたが、その土間にはあの頃の、機械の油の匂いが残っていました。

『もう一度この地域を活性化させよう!この地場産業を活性化させよう!』

そんな私達商工会青年部の思いから、京都府、そして京都府商工会連合会、また与謝野町からのご支援をいただき、平成17年度から2年間にわたり、「後継者育成」の一環として取り組んだ“意欲ある青年部活動支援事業”

“丹後の絹織物を使ったものづくりで独自ブランドを立ち上げ、全国・・・いや世界へ発信して行こう!”
壮大な目標を掲げた事業計画でした。ある意味大きな「夢」と言ったほうが良いのかも知れません。
しかしながら商工会青年部でこの事業を取組むにあたり、異業種団体である以上、ある特定の産業に特化した事業が出来るのか?言うなれば織物業以外の部員は殆どが素人集団・・・ましてファッション関係のものづくりを目指すのにデザインについての知識など皆無に等しい状態・・・
そんな不安な中、考え付いたのが「丹後300年の伝統と、若者のフレッシュな感性の融合でした。そうして以前より親会と交流のあった大阪のファッションデザイン専門学校とのコラボレーションによる産学連携の「新商品開発事業」がスタートしました。

2年間にわたり30回近く重ねた学生とのコラボレーション会議では、喧々諤々の議論を重ねながら、地元で生産した生地を生かせる商品の開発を目指して様々なアイテムを製作、東京の展示会や京都府商工会連合会が実施されていた「ジャパンブランド支援事業」での海外出展をいたしました。
中でも評価が特に高かった帽子を、シルク素材にふさわしい最高級な帽子として商品化することができました。

こうして出来た私達のブランド名は「シャンクール」と言います。これはフランス語の造語でシャンは野原や広い草原、そして、クールは心を意味します
市町村合併でなくなってしまった野田川町の名を忘れないように、“広い心”“大きな心”を持って育てていこうと考え名付けました。

全国商工会青年部 全国大会では優良青年部事業“まちづくり部門”で表彰をいただき、東京のファッション関係専門の展示会では、ブライダルデザイナーの桂由美さんのお目に留まり、私達シャンクールの帽子をファッションショーに使っていただきました。これらは自分達の事業の成果とその商品価値が認められたこととして大きな自信となり、今後のものづくりの励みになるものでした。

しかし上手くいくことばかりじゃありませんでした。理想とする事業計画を立ててもなかなか思うようにいかず、何回も何回も同じことの繰り返し。
みな、本業を持った中で負担もどんどん増えて、苛立ちから
「お前、ほんまにやる気があるんか?」
「みんなが責任持ってやらな、展示会まで時間もないのにこんなんでどうするんや!」
そんなケンカの日々が続いたこともあります。
誰もが「もうやめてしまいたい」「いっそその方が楽なんじゃないか」と投げ出したくなっていたようにも思います。

そんな時、コラボレーション会議の中で学校関係者の方から言われた一言・・・
「本当に真剣にやろうと思っているんですか」
「何もかも学校任せじゃないですか!」
その言葉に、自分達の考えの甘さと無責任さを痛感させられました。
辛いのも、大変なのも、自分達だけのような気になっていたのです。
「学生も、地域だって協力してくれているのに、おれらはいつも自分のことばっかりで、なんにも成長してへんやん」
「なぁみんな、自分本位な考え方を捨てて、助け合って励ましあってやらなこの事業は成功せえへんで」
これ以来、他人任せだった自分たちを恥じ、もっと本気で取り組むようになりました。

そんなこともありましたが、現在シャンクールはシャンクールLLPとして、有限責任事業組合という法人格の会社形式をとり、青年部とも連携を取りながら、それぞれが営んでいる事業の強みを活かし、実際の商売として活動しています。

そして、帽子以外にシャンクールで作ったネクタイも
「買ったるでどんどん持ってこいな〜」「うちの店に置かせてくれるか」
「前に務めていたデパートに話してみたるわ」
京都府商工会青年部連合会や他町の青年部の仲間、先輩からのありがたい話・・・

商工会長さんをはじめ、行く先々でも「もっとこうしてみたらどうだ?また相談に乗るよ」と本当に親身に接していただいています。

また地元の新聞や町報などにも何度が取り上げていただいたこともあり、地域の方々にも
「おい、がんばっとるか?」
「どうだ?帽子のほうは? 期待してるで!」といったように応援の声をかけて頂きくことも多くなりました。


こうして私は今、青年部のつながり、そこから無限に広がる人と人とのつながりが、きっと商売、地域の発展につながることを強く実感しています。
単に商品を作り、売るだけの事業ではなかったからこそ、青年部活動をとおして、このつながりという何よりも大切なものを得ることが出来ました。

私は、このまちが大好きです。このまちに生まれたことを誇りに思います。

だからこそ、いつかまた昔のように町中が機音に包まれて活気あるまちになるために、私達商工会青年部もシャンクールもその歩みを止めることは出来ません。

全国的に地場産業が低迷しています。
しかし、そんな今だからこそ、商工会青年部の本質である自分達の商売につながる事業、そして地域の発展へとつながる事業に取り組まないといけません。
本当のつながりを深めながら、私達と地域は共存共栄していかねばならないのです。
私達、野田川町商工会青年部は、「丹後ちりめん」に光をあて、地場産業の活性化に一石を投じたのです。
 商工会青年部を中心とした「つながり」は、低迷する産業をも活性化することが出来るということなのです。
「皆さん、広げて行きましょう!人と人とのつながりを・・・
僕達には、全国にこの素晴らしい仲間がいるじゃないですか!」・・・!!!

ご静聴ありがとうございました。
  
野田川町商工会ホームページ
http://www.nodagawa.com/

シャンクールホームページ
http://www.champscoeur.com/

京都府商工会青年部ホームページ
http://www.impulse-kyoto.jp/
関連HP
掲載者情報ネット戦略委員会 吉田慎吾