全国商工会青年部連合会
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小説 商工BOYS 12話(最終話) 〜青年部入部編〜  著:栃木県青連 高野ゆうじ
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ガンジスの沐浴写真
私は、ガンジス川が流れるインドの聖地ワーラーナシー(ベナレス)に行ったことがある。
聖なる川で沐浴するために巡礼にくる信者が多く、沐浴を見る観光スポットとして有名な町だ。
その地では聖なるガンジス川に灰を流すことが死者に対する最大の敬意とされ
死者を川岸で火葬に付して、子供、妊婦、事故死、疫病死の場合はそのままの状態で水葬される。
実に生と死と川が密接な関係だが、同時に排水も汚水も流れ込み、平然と洗濯をする人もいる。
氾濫もあれば汚染も見受けられる赤茶色の川だが、そこで暮らす人々にとっては
川が生きる源なのは間違いなく、どうであれ切っても切れない存在なのも間違いない。
「川と人の強い繋がり」が感じられる、まさに聖なる川ガンジス川の町だった。

「川の町」があるように、海の側で暮らす人々にとっては海が聖なる存在になるのだろう。
寺院の側で暮らす人々、お城の側で暮らす人々、田園で暮らす人々、原発の側で暮らす人々
それぞれの聖なる存在も共に生きる源であり、どうであれ切っても切れない存在に違いない。
人はそうして「住めば都」を形成して来たのだろうし、文化や風土を育んで来たのだろう。
やはり、そこにも強い繋がりがあるに違いなく、そこに暮らす人々の哲学に違いない。
例え、そこに何らかの困難が起ころうともそれを真摯に受け入れること、そこに生き続けること
今回の大震災から続く苦労と苦悩を見ていて、それこそが聖なることだと私は強く思う。
「生きることの辛さ、死ぬことの辛さ、それでも強く生きなければいけない辛さ」を知り
その辛さの先を考えさせる、そして与えられた生命や生活する場所を考えさせる
まさにインドは聖なる地だと改めて思い出した。
同時に、今回被災した地も、聖なる地と呼ぶに相応しいと思わずにいられない…。
氾濫の写真1枚
氾濫した那珂川の流域には、雨が止んでからも減らない水嵩を案じて避難勧告が出されていた。
次の日のお昼近くになってようやく水嵩が減り、氾濫前の状態がかすかに見えるようになったが
河川敷だけではなく流域付近の至るところに大木やガレキがころがり、大きな爪痕を残した。

その年のまつり当日8月15日は土曜日、雨天順延すると翌日の16日は日曜日になる。
帰省客は16日の午後には帰郷してしまうだろうから、やるならば絶対15日しかない。
みんなが集まった商工会館では、「中止も延期も絶対にありえない」というところから話は始まり
誰に許可をもらえばいいか、どこに連絡をすればいいか、何を用意すればいいか
前向きを通り越して、前に進む道を切り拓く気持ちの、真剣で失敗の許されない時間が過ぎた。
@私と部長と副部長の3人は、開催について親会と事務局と関係各位との話し合いに向かう
A電気屋の大淵と大工の加瀬と看板屋の木内と肥料店の立石は、会場設営をする
B薬剤師の山本と美容師のプロヴァンス橋上と理容師の林は、出場者との連絡をして確認する
みんなの役割と段取りの決定と注意点が決まって、簡単に缶ビールで乾杯をしたが
朝6時からは全員で会場設営を出来るところまでやることに決まったので
そこは大人の行動としてすぐに一本締めで気合いを入れて解散となった。
(立石さんはひとりで飲みに向かったらしいが…なんでやねん!)

昨日のうちに「夏祭り中止」と決定したこと、「自粛」という無難な答えもあること
青年部独自開催という前例の無いこと、何かあった時には誰が責任をとれるのかということ
事務局も親会執行部もなかなか縦に首を振ってはくれなかった。
当初は会場設営をした現場を見せ、事後承諾のような作戦で強行突破するつもりだったが
あえてそのことには触れず、情熱たっぷり「お祭りの意義」と「我々の思い」と今日これからの段取り
「中止」にした時のデメリットと「開催」のメリットを園児に説いて聞かせるように懇切丁寧にして
町役場広報課に勤める芳村さんには「広報用の取材だ」という名目で同行してもらい
無理矢理連れて来た部長の後輩君には「実録・祭り」という名目でカメラを廻してもらった。
(信じる方も信じる方だけど、実録って…それどこで流すんじゃい!)
密室での会議だったらそうはいかなかっただろうが、取材にカメラと聞いた彼らは
そこまでの情熱に反対する「分からず屋の人物」に映りたくない、という気持ちと
むしろ、理解があって包容力もある「町の見識家」に映りたい、という気持ちからか
ひとりが肯定側に回るとそこから過半数を越えるのはいとも簡単な話、最後は全員一致の反対ゼロ
「自分達の若い頃を思い出すよ!全面的にバックアップするから若い人のパワーでガンバレ!」
聞いていてこっちが恥ずかしくなるような、青春ドラマの優しい校長のようなセリフまで飛び出した。
(夕日に向かって走り出すしかないかと思ったぜ!走らないけど…)
少しだけそのドラマにおつき合いして「してやったりな気分」で心の中でガッツポーズをしたが
まだまだやるべきことが残されている現状とひとつひとつ乗り越えなければいけない関門に思いを馳せ
より一層引き締まる思いで颯爽と商工会館を出て関係各位をまわった。
観光協会や警察・消防に向かう部長と副部長と後輩君のチームと二手に別れ
私は芳村さんと行政とケーブルTVを訪れ、事情説明して公共の施設を使った周知の承諾をもらった。
行政は被害に関しての把握と各方面との連絡、今後のことでテンテコマイの様子。
予定していたことを中止にする手間よりは「任せて成立するならそれでよし」というところも見えた。
「芳村さんが協力してくれたおかげで、うまくいきました、ありがとうございました!」
「いえ、そんな、皆さんの熱意に感心しました。…あの〜、高堀さんて!」
「…はい、俺、ですか?」
「冷静というか、クールなのかと思ってたんですけど、そうでも無いんですね!」
「あれ?情熱的な一面、見せちゃいました?」
「…早く戻りましょ!」
「…そすか」
意識もせずにとにかく協力をしてもらっていたが、芳村さんにクールと思われていたこと
それがそうでも無いと思われたこと、忙しい最中だったが、なんだか微妙で新鮮な気持ちだった。

部長達が訪れた関係各位でも気持ちよく協力頂けるということで一安心だったが
すべてが順調だったわけではない。
15名予定のエントリーが当日ドタキャン8名で7名しか出場してくれないという昼近くの答え。
正直がっくりさせられたが、状況を考えれば仕方ないし、いざとなって怖気付くのもわかる。
もう一度検討してくれるようにエントリー者にあたったがやはりいい返事はもらえず
芳村さんも考えたし、事務局女史も考えたし、青年部員の家族も考えたが、身内は微妙。
それでも、なんとか二桁の10名にしたいとあちこち連絡してまわった。
最後は、小田さんの娘さんと亜紀ちゃんとママレモンが出てくれることで形が見えた。
10名いれば、格好はつく。バリエーションもいい。ナレーションも用意していたものが応用できる。
いい食材が無くては看板は上げられないが、充分な材料が集まって「いける!」と実感した。

ヘアースタイルと着付けをサービスにしたことで、昼過ぎのゆかた美人出場者の控え室は大賑わい。
司会をする薬剤師の山本さんと美容師のプロヴァンス橋上となぜか着付けができる理容師の林は
注文が多い女優さんの仕度を手伝うようなことなので、忙しくて大変そうだがどこか楽しそうだった。
「俺もその担当がヨカッタな〜」
設営が終わってひと休みしていた加瀬はかなりヤキモチをやいていた。
それにしても、低予算で頼んだ会場設営はバツグン。
「人数をかけずに予算もかけずに半日でここまでとは、完璧なステージだよ!」
「俺の仕事はいつだって完璧よ!」
加瀬は満悦な顔で自分の責任で組み立てたステージを眺めていた。
「看板もかなりいいよ!」
「あざっす、これが使えなかったらどうしようかと思ってました…」
余っていた材料で休みの日に看板を造った木内は安堵した顔でつぶやいた。
(こんなに完璧なことができるのか…)
私はそれぞれの職業を活かしてそれぞれの得意技を魅せる仲間に感心していた。
(あとは〜、音と光だな…)
ステージ横のテントの中で、大渕は音響と照明のセッティングを黙々と自分の世界でやっていた。
「どんな感じですか?」
「もうバッチリなんだけど、イメージしてるBGMが見つからないというか、決まらないというか…」
「司会の山本さんはどこ?」
「さっきからトイレ行ってばっかり!」
「じゃあ、俺がマイクテストしますから簡単なリハーサルもかねてどうですか?」
「いいね!こっちは万全だからいつでもいいよ!」

少しして出場者も交えてリハーサルを行った。
「大渕さん!今の照明のタイミング、もっと速められますか?」
「食い気味でいいの?」
「そうです、そうです!じゃあ、もう一回お願いしていいですか?」
「紹介のとこのBG、無名映画の挿入歌なんだけど、どうだった?」
「ぴったしだと思います!あっ、もう少ししぼったりしてメリハリ出せます?」
「じゃあ、あとで紹介のナレーション部分、コピーくださ〜い!」
「出場者の皆さん!あの人をよく見てください!皆さんにはあの人のように動いて頂く予定です!」
「今のタイミングで席に戻る。その時には次の人はもう歩き出す。そして、センターに来る!」
「見てますか、あの人のような動きです!もう一回やってみましょうか!」
細かいところもひとつひとつ決まり、早夕食の休憩をもらい急いでマンハッタンに帰った。
緊張しまくりの山本さんをリラックスさせてあげたかったが、自分の緊張を抑えるので精一杯だった。
全体としてうまくいくのか、自分のナレーションはうまくできるか、何かハプニングはないか
昼飯を食べてないのに食べたくない、ペットボトルの水を何本飲んでも喉が渇く
全責任を勝手に背負い込んでいるようなところがあったのだろう。
シャワーを浴びて着替えてからマンハッタンのカウンターで一息付こうと思っていた。
「私は何時に見に行けばいいの?」
「お袋、来るの?」
「もちろん行くでしょう、亜希ちゃんもママレモンも出るし、あんたもなんかするんでしょ!」
コーヒーでも飲めば気も休まるかと思ったがそんなこともなく、30分で現場に戻った。
会場に戻ったところで、また明らかにソワソワしている部長に呼び止められた。
「最初の最初の主催者挨拶って、俺?」
「あ・た・り・ま・え・でしょ!」
「それは、会長にはできないかな?」
「会長でもダメだし、町長でもダメ!主催者は、あ・な・た・ですから!」
「…俺が主催者か、俺が…」

青年部のみんな、出場者と出場者の関係者、出店の方々、早々と見学に来ている人々
緊張する人しない人、責任を感じてる人感じてない人、楽しみにしてる人そうでもない人
いろんな人のいろんな思いが幾十にも錯そうしながら時間は過ぎ
最後まで、すべてが順調なのか、すべてが段取り通りなのか、あと何分で本番なのか
地に足が付いてない、すがるところもない、イメージもできない、想定もできない
一瞬も落ち着く暇がないまま、気が付くと辺りは暗くなり、気が付くと本番が始まっていた。

(ステージ壇上MC 山本)
まもなく商工会青年部主催第一回ゆかた美人コンテストを開始致します。
今回10名のゆかた美人がエントリーしております。
こちらに投票箱がございます。皆様の眼で初代グランプリに誰が相応しいか
じっくりとご覧頂きまして投票お願い致します。
「綺麗だから、知っている人だから、親戚だから」どんな理由でも結構です。
お一人様一票となっております。貴重な一票となっております。
見事グランプリに輝きますと!
豪華トロフィーに賞金10万円、副賞としてDVDプレイヤーが贈られます!
また、グランプリに投票された方の中から3名の方に記念品を用意しております。
優勝者の行方と共に楽しみにお待ち下さい。
それでは商工会青年部主催第一回やかた美人コンテストの始まりです!
始めに主催者挨拶、青年部長の小宮山がご挨拶申し上げます。

司会の山本さんは、瞳孔は開き気味だったがそこは落語研究会出身、なんとか乗り越えた。
部長は期待通りといえば期待通り。手元のカンペ丸読みだったが、それでもなんとか乗り越えた。
「がんばれ!がんばれ!」心の中で励ましたあとは、自分の番だ。
山本さんと部長が乗り越えたいい流れを止められないと自然と気合いが入った。
静寂を数秒おいて、大淵さんの音と光のタイミングは完璧だった。私は本域でナレーションをした。

 BG(ON)照明(全開)(ステージ横テント内ナレーション開始)
それでは早速、浴衣美人の皆様に登場して頂きましょう!壇上に御注目下さい!
 (出場者誘導NO1〜)
さあ、エントリーNO1番から、浴衣を纏った女神たちが颯爽と行進しております。
初めての開催、初めてのステージ、初々しくはにかんでいる方が多いでしょうか。
まるで、那珂川の清流をのぼる若鮎のような、まさに光り輝く躍動感、そんな光景であります。
赤に青、黄色に緑、紫に黒、濃紺に白、艶やかな花模様、素材を生かした無地
それぞれに色彩豊かで、それぞれに似合ったゆかた姿であります!
夏の夕暮れ、宵かがり、皆様、最高の夕涼みができているのではないでしょうか!
まるでガラス細工の風鈴が美しい音色を奏でているような
現在、各地で行われているミスコンとは一味違う、情緒たっぷりの様相ではないでしょうか。
ゆかたの着こなしと日頃履きなれない草履での歩き方も審査の基準です。
どうぞ、ゆっくりとご覧いただきたい光景でありますが、全員が規定の位置に着いたようであります。
エントリーNO1番から10番までが整列致しました、この美しき扇、美しき競演の始まり!
会場の皆様、どうぞ、盛大な拍手をお願い致します!

会場からは歓声と盛大な拍手が起きた。
私はすでに脳内麻薬が出ているような、限界のハイテンションに達していた。
そして、歓声と拍手が鳴り止むのを少しだけ待って、ありったけの声でタイトルコールをした。

真夏の夜の夢、馬羽町商工会青年部主催 第一回 ゆかた美人コンテスト!!!!!

それではエントリー者の紹介です。一旦、着席頂きまして紹介順にお立ち下さい。
さあ、トップバッター参りましょう!エントリーNO1番 井上絵美さん!
下野銀行馬羽支店窓口3番、一番奥の窓口が担当です!
みなさんもお目にかかったことがあるのではないでしょうか
趣味は油絵と写真撮影という地元在住 独身の25歳
目立たぬようにしていても、つい目立ってしまうその端整な顔立ちは
実は大学時代にミスキャンパスに選ばれた程の折り紙付
窓口での好感接客、満面の笑みはまさに下銀窓口に咲く一輪の赤いスイートピー!
エントリーNO1番 井上絵美さんです
(会場拍手)

さあ、続いてはエントリーNO 2番 芳村亜紀さん
栃木県立大文学部英文科専攻で、現在、喫茶店のアルバイトをしている地元在住の19歳。
夏に咲き誇るひまわりのように明るい喫茶店の看板娘!
今日は、お母さんがお婆さんに作ってもらったという世界にひとつだけのゆかたを着ての出場です。
オンリーワンのゆかたはナンバーワンに輝くのか!夢がつながる親子3代ゆかた物語
太陽いっぱいひまわり娘は夜にも花を咲かせるか!
エントリーNO 2番 芳村亜紀さんです。
(会場拍手)

さあ、続いては
エントリーNO 3番 河上博美さん
やまぶき色のゆかたで登場です。5歳のアイナちゃん、1歳のケントくん
二人のこどもがいるとは思えないかわいらしい、地元在住の25歳。
郵便局に勤める旦那さんと旦那さんのご両親、二人の子供たちの為に
栄養のバランスを考えて毎日献立を考えるのが幸せを感じる瞬間です
という、まさに、「逆渡る世間は鬼ばかり」
できればもうひとりぐらい子供がほしい「幸せの積立貯金はズバリ!ゆうちょにお任せ!」
エントリーNO 3番 河上博美さんです。
(会場拍手)

さあ、続いては
エントリーNO 4番 小田綾子さん、馬羽中学校3年生の平成元年生まれの15歳。
お母さんから譲り受けた大人っぽいゆかたで出場です!
恥ずかしがっていても何も始まらない、勇気をださなければ何の結果も得られない
彼女は、また、今年の夏で一段と成長することでしょう!
ダイヤの原石は輝きの成長期、夢と希望の中学生日記 最終章
エントリーNO 4番 小田綾子さんです。
(会場拍手)

さあ、続いては
エントリーNO5番 保坂祥子さん。
建設屋さんの受付をしている、さくら市在住 独身の27歳。
学生時代は平泳ぎで郡大会優勝、今は雑貨屋さん巡りが趣味
会社では女性社員の良き相談相手というやさしいお姉さん的存在。
資格は二級建築士、甘えられるのがすきという母性本能は一級の花嫁候補
癒しの心は男の安らぎ 永遠に心惹かれるひざまくらは誰のもの
エントリーNO5番 保坂祥子さんです。
(会場拍手)

さあ、続いては
エントリーNO6番 高橋恵理果さん。
恵まれた里の果実と書いて恵里果さん。
名前に負けず可憐な美しさに恵まれた馬羽道の駅勤務の烏山在住の二十歳
情報処理検定3級、ワープロ実務検定3級、家庭科検定2級のがんばりやさん。
接客の仕事は大好きだし、資格をいかした仕事もしてみたい、いい人がいたら結婚もしたい
将来どんな道に進もうか迷っているそうです。
まさに人生の道の駅 のるかそるかはまだ夢の途中
エントリーNO6番 高橋恵理果さん。

さあ、続いては美人三姉妹の登場です。
美しき遺伝子の競演!まずは長女のエントリーNO7番 田口千恵美さん。
元保母さんの宇都宮在住の29歳、現在は2人の子をもつ美しき倹約ママ。
団体職員の御主人とりょうせい君とこうせい君が応援に来ています。

つづいて次女のエントリーNO8番 大槻智美さん。
元歯科助手の地元在住の27歳。
地元のよさこいチームのメンバーとして活動もしている行動派の美人ママ。
御主人とダイキ君が応援に来ています。

そして3女のエントリーNO9番 渡邊敦美さん。
病院付属準看護学校2年生。学校の寮で生活をしているナースの卵。
わがまま三女も今は昔。両親の面倒は私が見ます!
お婿さんを募集している親孝行なナイチンゲール!
今夜、あどけなさの残る白衣の天使はゆかたのヴィーナスと化すのか!

会場のどちらかで三人の御両親が眼を細めながら応援をしていることでしょう。
娘さんたちは賞金が貰えたら両親を旅行に招待する、とおっしゃっておりました。
この美人三姉妹は親孝行なキャッツアイとなれるか!狙った獲物はグランプリ!ただひとつ!
エントリーNO7番 田口千恵美さん 8番 大槻智美さん 9番 渡邊敦美さんの三姉妹です。
(会場拍手)

さあ最後は特別枠とでもいいましょうか、エントリーNO10番 猪熊一美さん。
ちなみに今回のコンテストに年齢制限はございません。
手元の資料には33歳と書かれておりますが、実年齢は不明でございます!
33は女の大厄、3で死んだが三島のおせん。
さあ、中森明菜ディザイアー風のゆかたで登場!飲食店経営「仏も恐れる見返り美人!」
ママのいいとこちょっと見てみたい、〇▽×▲…

私のナレーションの途中なのに司会者からマイクを取上げたママレモンは
「こらっ!!! もっといい感じの紹介しろ! こらっ!!! 聞いてんのか!」
会場は大爆笑と大盛り上がり。
ママレモンは調子に乗って、そでにあるテーブルの上の優勝トロフィーを奪い取り、振り回しながら
「みんな盛り上がっていこうぜ!イエーイ!」
「イエーイ!」
会場はママレモンに乗せられて更に盛り上がった。
「ゆかた美人バンザーイ!イエーイ!」
「イエーイ!」
「馬羽最高!商工会青年部最高!ロックンロール!イエーイ!」

会場の心を鷲掴みにしたママレモンだったが、コンテストの審査票は全く伸びず無冠に終わった。
(そりゃそうだ…でもありがとうママレモン!)
勇気を持って出場してくれたゆかた美人の方々と盛り上げたい一心の破天荒なママレモン
そして、商工会青年部の仲間の連携で、最高の夜となった。
コンテストの終了直後に花火が上がった。それは聞いていなかったサプライズ。
小規模であっという間のスターマインだったが
小室さんが知り合いの業者に無理矢理頼んだ打上げ花火だった。
小田さんが仕切って、消防も出動していた。
(小室さん、小田さん、いろいろありがとう!)
俺たちは夜空を見上げながら自然にみんなでハイタッチとハグを繰り返した。
ずっと生きていくこの町、ずっと一緒に過ごしていく最高の仲間
学生時代の友達とは少し違う同じ方向を歩む仲間、「なかよしこよし」ではない刺激ある仲間
「商工会青年部に入部して本当によかった…」
缶ビールをみんなでプシュっとしてひとりひとりと乾杯しながら、心からそう思った。
ただ入っただけではなく一歩踏み込んで、尚、よかったと思った。
この思いこの気持ちは、一生忘れられない、忘れたくないと思った。
空きっ腹で飲む真夏のビールは格別な味がして、飲んだことがないほろ苦さだった。
この味この喉越しも、一生忘れられない、忘れたくないと思った。
第2回ゆかた美人コンテストの写真1枚
次の年は更に盛大に行われ、青年部主催事業「ゆかた美人コンテスト」として定着したが
市町村合併に伴う商工会合併という次の難題が俺たちを待ち受けていた。
私はまだ入部したばかり、「商工BOYS」は「部長編」「会長編」と続く三部作だったのだ。
(えっ?そうなの?と、お思いのあなた!読むか読まないかは、あなた次第です!)


商工BOYS 入部編 完結
続きはどこかで…







理事会後の写真
あとがき

「地球の歩き方」という旅行ガイドブックが私はスキだ。
100箇所を超える国や地域をまとめたモノがあるが、3分の1は読んだと思う。
初めての海外旅行で買った「インドの歩き方」が、現地で参考になり実に役に立ち
その取材と編集の信憑性は絶対だと信者になった。
実際、読んだ本の国に行ったことはいくつもないが、いつか行きたいと思いながら読むことが多く
たとえその国に行くことが無くとも行った気になれるし、知った気になれるのでスキになったのだと思う。

私はこの「商工BOYS」を「商工会青年部の歩き方」として書いたつもりだ。
全国には1700箇所を超える青年部があるらしく、実際に起きていることも各事業も違うわけだが
根底にある歩き方や歩み方は同じだろうと思っている。
見ること・聞くこと・感じること・学ぶこと、出逢いと別れ、その過程と結果、成功と失敗
それは、もしかすると旅と似ているのではないかと思う。
これを読んでいるみなさんには、どうかいい旅をしてほしい!と願うのが退部するいま思うこと。
旅もせずに批判や批評だけをする人にはなってほしくない
それまでの固定概念にしばられることなく、立案して旅ができる人になってほしい!
そして、それを実行できる仲間との関係を創って、最後は仲間と美味しい酒を飲み交わしてほしい!
それが、それぞれの歩き方、それぞれの「商工BOYS」なのだろうから…。
思い出深い「全青連の旅」を共にした宮本会長はじめ同期会長と
メルマガ連載を企画・編集してくれた愛知@森瀬Jに感謝をしてこの旅をここで一旦終わりとする。

平成23年7月

高野ゆうじ http://ameblo.jp/yuji-tochigi/
掲載全青連メールマガジン2011.7月号
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