全国商工会青年部連合会
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全国の青年部長による意見表明・決議

全国の青年部長による意見表明・決議
(第11回商工会青年部全国大会[福岡大会])



現在の日本を取り巻く状況は、人口減少、少子高齢化の進行、先進国に加え新興国の急速な工業化による温室効果ガスの増加から引き起こされた地球温暖化問題など、将来的な課題が山積している。
経済においては、米国のサブプライムローン問題を発端とした世界的な金融不安と原油・原材料価格の不安定な推移により、景気が急速に悪化している。世界的な消費の低迷や円高により国内主要企業も深刻な影響を受けており、中小零細企業の相次ぐ倒産や、金融機関の貸し渋り、貸し剥がしの動きなど、我々を取り巻く環境はかつてなく厳しい状況にある。
政治的には、年金問題、中央と地方の問題、食の安全の問題など国民全体が疑心暗鬼の中にあり、『ねじれ国会』による政治動向にも不透明感が現れている。

今、日本国民の多くが将来に不安を感じている。

その中にあって、われわれ商工会青年部は、“協力同心”の誓いのもと、今後も地域と共に発展して行けるような経済活動が行える環境を整えなければならない。『強い中小零細企業』を作ることは国益に繋がるだけではなく、次代の日本を支える人財の確保にも資するものである。日本の未来を創る一翼を担う青年経済団体として、真の経営者をめざす集団として、以下の政策提言を決意表明する。

T. 政府与党に対する提言
・消費税率引き上げの当面の凍結

企業倒産件数の増加など景気は悪化の一途を辿っている。このような状況での消費税率引き上げは一層の消費低下を促す結果にしかならない。仮に消費税の検討を行う際には、@国・地方合わせた特別会計を含む歳出削減の進捗状況、A消費税の改正がわが国の景気に与える影響、B消費税の改正に伴う中小企業への悪影響(価格転嫁が困難、事務負担増大等)の排除措置等を、国民や事業者に明確に提示するとともに、小規模事業者の意見を十分に聞き、消費税率の安易な引き上げは行わないことを要望する。

・実効性のある経済対策の実施
景気後退と金融不況の波は世界的な広がりを見せている。日経平均株価も2008年中に一時50%近く下落しているが、金融機関が自己資本比率の低下を理由として融資に対してハードルを上げることは、日本の経済成長を阻害する行為に他ならない。今後も、資金繰りの悪化による企業倒産が増える恐れがあるが、税収、雇用、産業の成長にとっては大きなマイナス要因となる。
政府が発表した追加経済対策については着実に実行するとともに、中小企業向け緊急保証枠を拡大し、多くの中小企業が活用できるよう関係機関に対しても周知徹底することを強く求める。
また、無担保・無保証人の融資枠のさらなる拡充、金融機関の監視を強化し、貸し渋り、貸し剥がし対策を強力に実行することを求める。

・小規模・零細企業対策予算の拡充
わが国企業全体の約87%を占める小規模・零細企業は、日本経済の基盤を支える存在であるにもかかわらず、取り巻く経営環境は非常に厳しいものである。これらの企業に対する更なる支援強化のため、小規模企業対策予算の大幅拡充を要望する。
とりわけ平成18年度から開始している小規模事業者新事業全国展開支援事業については、今後『強い中小零細企業』を作るために各都道府県で推進している経営革新事業、創業支援事業等とリンクさせながら、真の経営者を創ることを目的として、我々青年部としても積極的な参加、実施を行うこととしている。
今後とも強い地域づくりの施策として活用していくためにも更なる増強・拡充を強く要望する。

U. 商工会に対する提言
1. 組織全体に対しての提言
・国や都道府県・市町村の中小企業施策に関する情報の積極的な収集及び提供

中小企業向けの施策については、これまでも商工会から様々な情報提供が行われているところであるが、急変する経済環境に伴い国・都道府県・市町村では多様かつ使い勝手のよい施策が講じられているところである。
商工会としてこれらの情報を積極的に収集・提供できるよう組織内の情報網を可及的速やかに整備することが求められる。
関係各方面からの積極的な情報収集を通じ、商工会会員の要望とのマッチングがスムーズに行えるような仕組み作りを要望する。
 
2. 商工会(本会)に対しての提言
・若手会員の組織内での積極的登用

組織は常に代謝を続けなければならない。
内外環境の変化に敏速に対応するためには、かつての『良かった時代の商工会』を知らない若手の登用が必要不可欠である。次代に向けて商工会が更なる変革を遂げ、新しいチャレンジゾーンへ足を踏み出すためにも、若手会員や青年部活動を通じ地域と密接なつながりのある青年部員(OB)の、組織内での積極的な登用を強く求める。

3. 商工会青年部に対する提言
・47都道府県で実施されている経営革新承認を全国の青年部員の一割が取得することを目指す

  社会の本質は、変化を常態としている。どんな事業や人気商品もライフサイクルがある。今の仕事がいつまでも自社の成長を支えてくれる保障はどこにもない。私たち青年経済人は、劇的な変化の時代を成長するために、既存事業の見直しや新商品の開発により、常に新陳代謝を図らねばならない。
  各都道府県の経営革新支援制度を積極的に活用し、真の経営者となるために、全国の青年部員の1割が経営革新に取り組み、承認を目指すこととする。

4. 商工会職員に対する提言
・商工会会員のニーズを掴むため、巡回指導の強化を

変化に強い商工会組織づくりのためには、『会員のニーズが何であるか?』という問いに常に関心を持つことが必要である。商工会には会員サービス強化のための、より一層の努力が求められることとなるが、何とか会員ニーズに応えようとする考え方があってこそ、成長領域に一歩踏み出せるのではないだろうか。
  変化の時代に自己を適応させていくためにも、巡回指導の更なる推進・強化を強く要望する。


以上 決議する
平成21年2月11日