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ただいま実施中のIPV(不活化ポリオワクチン)のQ&Aを作成しました。 OPV(経口ポリオ生ワクチン)にすべきか、IPVにしようかとお悩みの方は是非参考にしてください。
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現在までのところ、不活化ポリオワクチンは定期接種にはなっていません。 不活化ポリオワクチンを自主的に受けることを検討した場合、どうすればいいのか、具体的に解説します。 2010年12月15日に「ポリオの会」が3万4902筆の署名を集め、「不活化ポリオワクチン要望書」を岡本充功厚労政務官に提出して以来、不活化ポリオワクチンへの注目は以前にもまして高まっています。 国内では、不活化ポリオワクチン接種を受ける人が増えているようです。 メディアでも多く取り上げられ、これを機に接種を希望される人やポリオの会への問い合わせする人も増えています。
Q1:不活化ワクチンと生ワクチンって、何が違うのですか? 不活化ワクチンはウイルスを殺して(=不活化)バラバラにし、免疫をつけるのに必要な部分のみを集めたものです。 免疫力の低下している人に接種しても、この不活化ワクチンから感染して病気を引き起こす危険性がありません。 したがって、不活化ポリオワクチンが原因でポリオウイルスに感染することはありません。 これに対し、生ワクチンは病気を起こさない程度に病原性を弱めてありますが、本物の生きたポリオウイルスがワクチンの中に入っています。 健常者でも、一定の確率でワクチン関連麻痺性ポリオ (Vaccine-associated Paralytic Polio ; VAPP)が起きます。 免疫力が低下している人、たとえば重症複合型免疫不全症の子どもや抗がん剤治療後の人、あるいは免疫抑制療法中の人の場合、発病のリスクが高まります。 なお、不活化ポリオワクチンの正式名称は Inactivated Polio Vaccineで、頭文字をとってIPVと略します。 ポリオ生ワクチンの正式名称は Oral Polio Vaccineで、OPVと略すことが多いです。
Q2:不活化ワクチンにはどんなメリットがありますか? 不活化ポリオワクチン(IPV)では、ワクチン関連麻痺性ポリオ(VAPP) の発生がありません。 接種を受けた子どもはもちろん、接触した周囲の人(保護者等)もすべてポリオを起こすことはありません。 ワクチン接種後の便も普段と同じように処理すれば良いですし、ポリオに対する免疫が低いとされる1975年〜1977年(昭和50年〜52年)生まれで、現在、お子さんのポリオワクチン接種を考えている場合でも安心です。 ただし周囲のお子さんたちがポリオ生ワクチン(OPV)を接種している場合、やはり感染の可能性を否定することはできません。 OPVのデメリットは接種した本人(子ども)がポリオを発病する可能性があること、そして発病した場合にその子どもが通っている保育園等や、家庭内においてもポリオワクチン未接種の子どもに感染し、ポリオを発病させる可能性があることです。 実際、日本でも、ワクチン未接種の子どもがポリオを発病したケースが報告されています。 生ワクチンをもとにして、ポリオが野生化する事態も起こり得ます。 ナイジェリアでは2004 〜 2005年にかけてワクチン株由来のウイルスが野生化し、ポリオの流行を引き起こしたことが報告されています(出典:国立感染症研究所 感染症情報センター)。 ポリオウイルスは、1型、2型、3型の3つの型があります。 国内では全年代を通じて、ポリオウイルス3型に対する免疫が低く、さらに1975年〜1977年生まれの人はポリオウイルス1型に対する免疫も低いため、ワクチン株ポリオの野生化により大流行が起きる可能性もあります。
Q3:危険だというならなぜ生ワクチンは開発されたのですか? ポリオ生ワクチン(OPV)は今でも世界をポリオの脅威から救ってくれている、すばらしいワクチンです。 OPVは注射器や針などの医療資材が必要なく、口にスポイトで液を垂らして飲んでもらうだけなので、短時間に大人数に接種が可能ですし、医師や看護師でなくても投与が可能です。 OPVによりポリオは激減しており、ポリオが多数発生する国にとっては非常に有効なワクチンです。 一方、欧米を中心とした先進国ではワクチンが行きわたり、自然にポリオに感染する機会がなくなると、ワクチン関連麻痺性ポリオ(VAPP)だけが発生する状況となりました。 そこで、ほとんどの先進国では不活化ポリオワクチン(IPV)を導入し、VAPPはありません。 しかしながら日本では先進国の事例からすると例外的にOPVを継続し、VAPPが発生し続けているということになります。
Q4:不活化ワクチンの接種回数とスケジュールが知りたいのです。 教えて下さい。 米国では、ACIP(Advisory Committee on Immunization Practice)という専門機関があり、接種すべきワクチンの種類や、接種スケジュールが決定されています。 現在、不活化ポリオワクチンは、生後2カ月、4カ月、6カ月〜18カ月の3回に加え、4歳〜6歳時に追加接種を受けるスケジュールが推奨されています(出典:the Centers for Disease Control and Prevention)。 日本では3種混合ワクチンの接種が3カ月から始まりますので、同じスケジュールでは接種できません。 当院では生ワクチンを未接種の方には、2か月間隔で3回の不活化ワクチン接種をお薦めします。 はじめは他のワクチンとの同時接種はお薦めしないつもりでしたが、現在では同時接種も行うようにしました。 逆に、同時接種をお勧めします。 その他の任意接種では、B型肝炎ワクチンの接種も推奨されます。 1カ月間隔で2回、半年後に3回目の接種スケジュールです。 母親は妊娠時にB型肝炎ウイルス(HBV)感染の有無をチェックされますが、それ以外の家族はチェックを受けません。 たとえば父親や祖父母などがHBV感染者の場合、唾液を介した水平感染のリスクがあります。 保育園での集団感染などの事例も報告されているため(出典:佐賀県感染症情報センター)、接種をお薦めします。
Q5:ポリオ生ワクチン接種を1度受けた後でも不活化ワクチンは接種できますか? 不活化ポリオワクチン(IPV)接種は可能です。 ポリオ生ワクチン(OPV)を1回接種した後にIPVを何回接種すべきか、臨床試験がされていないためわかりません。 米国CDC Pinkbookには、IPV3回の接種で99%以上の方で免疫が得られるとの記載があります。 また、多くの国ではポリオワクチンは4回接種するという事実から鑑みて、IPVを3回接種するとよいと考えられます。 接種間隔は、OPV接種後1カ月以上あけて2回目を接種し、その2カ月後以降に3回目、4歳〜6歳で4回目が良いと思います。 明確なルールがありませんが、当院でも生ワクチン1回接種の方はとりあえず、2か月間隔で2回の接種をお薦めします。 春と秋のOPV集団接種の時期には、VAPPのリスクが高まるため、それまでにOPVを含めた3回目までの接種を済ませておくことが望ましいです。
Q6:不活化ワクチンの副作用が心配です。大丈夫ですか? 有害事象と副作用を分けて考える必要があります。 有害事象はワクチン接種後に起きたすべての望ましくない事象をさします。 ワクチン接種後に雪道で滑って転んで怪我をしても、有害事象です。 その有害事象の中の一部はワクチンによって引き起こされた反応(副作用)です。 接種部位の赤みや腫れなどがこれにあたります。 IMOVAX POLIOに添付されている説明書には、副作用について以下のように記載されています。 米国では年間約440万が出生し、IPV接種率は約92%です。 OPVが廃止されて以降の2000年〜2010年のIPV接種人数は約3,700万人にのぼります。 これまで、無過失補償制度であるVICP(ワクチン副作用被害補償制度)でIPV接種後に補償がなされたのは1988年〜2010年までの22年間で7件です。 かりに、7件が2000年〜2010年の間に発生したとして、確率は0.19/100万です。この数値を日本に当てはめると、全員がIPVを接種しても、5年に1人程度しか補償対象となる副作用被害は発生しないと推定されます。 日本では、OPV接種後に予防接種健康被害の認定を受け、医療手当や障害年金、死亡一時金を受けた方が累積で138人にのぼります(出典:厚生労働省ホームページ)。 毎年、4人から6人以上の方がVAPPを発病し、新たに認定されています。
Q7:岡空小児科医院ではいつから接種が可能になりますか? その費用はいくらですか? 平成23年3月から接種を開始しています。 約半年で300接種以上行いましたが、特に重大な副反応は見当たりません。 なお、接種料金は1回あたり、5000円です。 接種時にお支払いください。
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